ネタバレあり(1巻のみ)
作者 :荒川弘
出版社:月間少年ガンガン
発表 :2022年1月~
はじめに
作者は『鋼の錬金術師』の荒川弘。
私が小学生のころ、兄が『鋼の錬金術師』のアニメDVDをレンタルしてきて、一緒に見たのが最初の思い出である。
もう20年くらい前であるが、当時はスカー(傷の男)がすごく怖かったと記憶している。
この作者は緊張感のあるシーンを描くのが上手い。あと感情表現がリアル。
次の作品、『銀の匙』は私の好みじゃなかった。
つまらないから途中で読むのをやめてしまった。
もっと売れる漫画描けばいいのにと思った(もっとも、かなり売れたみたいだが)。
そして満を持してのバトルファンタジー作品、『黄泉のツガイ』である。
あらすじ
冒頭、双子のユル(兄)とアサ(妹)が産まれるシーンから始まる。
おばぁは言う、「この子らはツガイを統べる者になる」と。
「ツガイ」とは、「対なるもの」幽霊、妖怪、化け物、UMA、異形とか様々な呼ばれ方をする一対の存在のことらしい。良く分からないが、ハンターハンターの守護霊獣のような役割。
つがい(番い)をネットで調べたら、「オスとメスの組み合わせのこと。夫婦。」のことらしい。そういえばツガイは毎回2匹いるな。
ちなみに双子の兄のユルが主人公。この冒頭を見るに、本作の主人公は、とてつもない才能があり、世界を変える系の人物らしい。
ありきたりだが、私はそっちの方がワクワクするから好きだ。
出産直後の赤ん坊のシーンから一転、16歳になったユルが登場する。
服装からして江戸時代とか昔の話かなと思いきや、飛行機雲が出てくる。馬に乗ったユルとの対比シーンで読者を惹きつける。上手いなぁ。
どうやらユルは村で暮らしているようだ。
村の人に温かく迎えられるユル。妹のアサのところに行くと、アサは小さな牢屋に入っている。毎日お務めをしているらしい。お務めとは何かはここでは明かされない。
明るい外にいるユルと暗い室内にいるアサの対比。しかし笑顔で話す2人。すごく仲が良さそう。
すると突然ヘリコプターが現れる。銃を持った兵隊が現れる。村人の大人が殺される。
一人の女性がアサを襲う。ユルが助けに来る。
襲ってきた女性が言う、私こそがユルだと。ずっと村にいた、ユルがアサだと思っていた女性は偽物だと。
10年前、アサは両親と一緒に村から逃げた。もしユルにも逃げられたら困るから、ユルを縛るためにアサのつくりものを用意したとのこと。
みたいなのがあらすじである。疲れたのでここらへんまでにする。
感想
主人公ユルのツガイ左右様はめちゃくちゃ強いが、ユル自身も敵に立ち向かっていく強さがある。
そこがいい。
未知の敵を前にして、ツガイはユルに言う、命令すれば何でもすると。
ユルは2つあると答える。1つは生きている村人の保護、もう1つはあの敵を倒すのが自分だから手を出すなと。
しびれたね。良い意味で予想を裏切った回答。ここが1巻のピーク。
いまのところ、村の内側と村の外側で対立している。しかしどちらも「良い人」として描かれている。どちらかが善でどちらかが悪のようには描かれていない。作者らしい。
互いに憎みあっているように見える。事情があるようだ。しかし1巻の中では解き明かされていない。
主人公に魅力があり、設定が良く練られているように見られ、続きが気になる内容になっている。
気になる点を強いてあげるなら、ハガレンのような厨二要素が足りない。あとは等価交換のような教訓めいた要素がたりない。
設定の壮大さがどう盛り上がっていくかが見ものである。
まとめ
正直めちゃくちゃ面白い。
誰にでもおすすめ出来るし、苦手な人もいないだろう。
なので評価Sとさせていただきます。
おわり。
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